四元数による回転行列

  3次元ベクトルを回転させることは、 そのベクトルの成分を各成分に持つ四元数に対して、左右から単位四元数を掛けることに相当する。 その単位四元数の各成分を $q_0$, $q_1$, $q_2$, $q_3$ とすると、回転行列は、

四元数と回転00

と表せる。以下に詳細を記す。
最終更新 2015 年 10 月 2 日


  四元数

  $\mathbf{i}$, $\mathbf{j}$, $\mathbf{k}$ が次の関係を満たすとする。

四元数による回転行列の表現01

任意の四元数 $\hat{q}$ を4つの任意の実数 $q_{0}, q_{1}, q_{2}, q_{3}$ によって

四元数と回転02

と定義する。
  $\hat{q}$ の共役 $\hat{q}^{*}$ を

四元数と回転03

と定義する。
  $\hat{q}$ の絶対値 $\| \hat{q} \|$ を

四元数と回転04

と定義する。

  四元数の積と行列の作用との関係

  3つの実数 $r_{1}, r_{2}, r_{3}$ によって四元数 $\hat{r}$ を

四元数と回転05

と定義する。
  また、四元数 $\hat{r}'$ を

四元数と回転06

と定義する。
  このとき $\hat{r}'$ は、$(1)(2)(3)(5)$ によって、

四元数と回転07

と表せる (計算の詳細については、記事下の補足を参考のこと)。   ここで四元数 $\hat{r}'$ を

四元数と回転09

と置くと、各成分に対し、

四元数と回転09

が成立する。
  この関係を行列の形でまとめると、

四元数と回転10

である。
  ここで行列 $R$ を

四元数と回転11

と定義すると、$r_{i}'$ と $r_{i}$ の関係が

四元数と回転12

と表せる。
  従って、 3次元ベクトルの成分を各成分に持つ四元数 $(5)$ に対し、左から四元数を掛け、右からその共役を掛けること(すなわち、$(6)$のこと) は、 3 次元ベクトルに行列を掛けること $(9)$ に相当する。

  $R$ は直交行列

  ここからは、$(2)$ の四元数 $\hat{q}$ が単位四元数であると仮定する。

四元数と回転13

左辺の $\| \hat{q} \|$ は、$(4)$ によって、定義される。 この条件のもとで、$R$ が直交行列であることを示す。
  $R$ の列ベクトルを

四元数と回転14

とすると、

四元数と回転15

である。
  このとき、第 1 列目の列ベクトルのノルムは 1 である。すなわち、

四元数と回転16

である。 同様に第 2 列目と第 3 列目に対しても

四元数と回転17

が成立する。
  また第 1 列目と第 2 列目の列ベクトルの内積が

四元数と回転18

を満たす。 同様に

四元数と回転19

を満たすので、異なる列ベクトル同士は直交する。
  以上より、行列 $R$ の列ベクトルは正規直交系をなす。これにより、

四元数と回転20

が示される。 同じように $RR^{T} = I$ も示されるので、 $R$ は直交行列である。

  $R$ は回転行列

  次に $(10)$ のもとで、$R$ の行列式が $1$ であることを示す。
  $R$ の第 1 列目と第 2 列目の列ベクトルの外積の第 1 成分を $(\mathbf{R}_{1} \times \mathbf{R}_{2}) |_{1}$ と表すと、 これは

四元数と回転21

が成立する。すなわち、第 3 列目の列ベクトルの第 1 成分に等しい。
  同じように、第 2、第 3 成分に対しても

四元数と回転22

が成立する。 よって

四元数と回転23

これより $R$ の行列式は、

四元数と回転24

である。

  結論

  以上より、条件 $(10)$ を仮定すると、$R$ は行列式が $1$ の直交行列になる。よって、$R$ は回転行列である (一般に、行列式が $1$ の直交行列は回転行列である)。
  ゆえに、 条件 $(10)$ を満たす四元数 $\hat{q}$ によって、変換 $(6)$ を定義すると、 三次元ベクトル $r_{i}$ は回転し、$r'_{i}$ に変換される。すなわち、 条件 $(10)$ のもとでの変換 $(6)$ は、三次元ベクトルを回転させる。


  補足: 四元数の積 $\hat{q} \hat{r} \hat{q}^{*}$ の計算  

  $(2)(3)(5)$により、

四元数と回転25

である。左側の積のみ、$(1)$ のルールに従って展開すると、

四元数と回転26

と表せる。$(1)$ のルールに従って、さらに展開すると、

四元数と回転28

と表され、$(6)$ を得る。




ロドリゲスの回転公式との対応関係






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