ロドリゲスの回転公式  

最終更新 2017年 3月12日
  任意の軸 $\mathbf{n}$ のまわりに角度 $\theta$ だけ回転させる回転行列は
ロドリゲスの回転公式
と表される。 ここで $\mathbf{n} = [n_1, n_2, n_3]$ は、大きさ 1 の回転軸ベクトルである。
  この表現をロドリゲスの回転公式(Rodrigues' rotation formula)と呼ぶ。

  証明

  原点を $O$ とする座標系 $C$ において、 任意の点 $P$ を 任意の回転軸 $\mathbf{n}$ のまわりに角度 $\theta$ だけ回転して得られる点を $Q$ する。 また点 $P$ の回転軸 $\mathbf{n}$ 上への射影を $O'$ とする (図)。
任意軸回転のイメージ
  原点を $O'$ とし、 $ \overrightarrow{O'P}$ の方向に $x$ 軸、 $\mathbf{n}$ の方向に $z$ 軸、 それらと直交し、 右手系をなす方向に $y$ 軸を持つ座標系を $C'$ とする。 $C'$ の $x$ 軸、$y$ 軸を向く単位ベクトルをそれぞれ $\mathbf{e}'_{x}$、$\mathbf{e}'_{y}$ とすると、 $\{ \mathbf{e}'_{x}, \mathbf{e}'_{y}, \mathbf{n} \}$ は、 右手系の正規直交基底をなす。
  $ \overrightarrow{O'Q}$ と $\mathbf{e}'_{x}$ の成す角が回転角 $\theta$ であるので、
が成立する。
  ここで $\overrightarrow{O'Q}$ は $ \overrightarrow{O'P}$ を回転させたベクトルであるので長さは変わらない。 すなわち $ \left\| \overrightarrow{O'Q} \right\| = \left\| \overrightarrow{O'P} \right\| $ が成立する。 よって、
と表せる。
  $\mathbf{e}'_{x}$ は、$\overrightarrow{O'P}$ と同じ方向の単位ベクトルであるから、 $\mathbf{e}'_{x} = \overrightarrow{O'P}/\left\| \overrightarrow{O'P} \right\|$ が成立する。 よって、
と表せる。
  また図より $\overrightarrow{OO'} + \overrightarrow{O'P} = \overrightarrow{OP} $ であることから
と表せる。
  $O'$ は、$P$ の回転軸 $\mathbf{n}$ 上への射影であるので、 $ \overrightarrow{OO'} = \left(\overrightarrow{OP}, \mathbf{n}\right) \mathbf{n} $ である。 これより、
と表せる。
  $\{ \mathbf{e}'_{x}, \mathbf{e}'_{y}, \mathbf{n} \}$ が右手系をなすことから、 $\mathbf{e}'_{y} = \mathbf{n} \times \mathbf{e}'_{x}$ が成立する。 よって、
と表せる。
  再び $\mathbf{e}'_{x} = \overrightarrow{O'P}/\left\| \overrightarrow{O'P} \right\|$ により、
と表せる。
  また $\overrightarrow{OO'} + \overrightarrow{O'P} = \overrightarrow{OP}$ であるので
と表せる。
  $\mathbf{n}$ と $\overrightarrow{OO'} $ が平行であることから $\mathbf{n} \times \overrightarrow{OO'} = 0$ が成立する。 よって、
と表せる。
  この式と $ \overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OO'} + \overrightarrow{O'Q}$ によって
を得る。
  再び $\overrightarrow{OO'} = \left(\overrightarrow{OP}, \mathbf{n}\right) \mathbf{n} $ によって、
が成立する。
  $\overrightarrow{OQ} = \mathbf{r}'$、$\overrightarrow{OP} = \mathbf{r}$ と表すことにすると、 この式は
と表される。
  この式の右辺の第二項の内積を成分によって $(\mathbf{r}, \mathbf{n}) = \sum_{j=1}^{3}\mathbf{r}_{j} n_{j}$ と表し、 第三項の外積の第 $i$ 成分 $\mathbf{n} \times \mathbf{r}|_{i}$ をLevi-Civita の記号を用いて、
と表すと、 $(1)$ 式の第 $i$ 成分は、
と表せる。
  クロネッカーのデルタ
によって $\mathbf{r}_{i} = \sum_{j=1}^{3} \delta_{ij} \mathbf{r}_{j}$ と表すと、 上の式は、
と表される。
  ここで行列 $R$ を
によって定義することにより、 上の式は
と表される。
  $R_{ij}$ の各成分を具体的に表すと、
であり、 行列表現すると、
である。 この行列 (または $(1)$) をロドリゲスの回転公式と呼び、 任意軸回転後の位置をもとの位置で表すときに使われる。
 例: 3軸回転
  回転軸が3軸方向を向いている場合、つまり
の場合、上の公式によって、 回転行列 $R$ は、
と求められる。